不安を抑えるためのこころの健康管理「マインドフルネス」。
今までもブログに触れてきましたが、昨今の精神疾患患者の増加は深刻だな、と感じています。今回は少し深掘りして書いてみたいと思います。
脳が酷使されて休めない時代
今の時代は、メールやSNS、インターネットにより、人間の脳が処理する以上の情報量が舞い込んできており、ますます脳を休める時間が足りなくなっています。
「脳が休めず酷使され続けていると一体どうなるのか?」
脳を酷使し続けているとどんどんこころが荒んでしまい、漠然とした「不安」な感情がどんどん増幅されてゆきます。
さらにこころへの負担が増え続けると、うつや不安障害といった精神疾患(心身症)になってしまいます。
実際に、精神疾患の患者数推移(下のグラフ)をご覧ください。
このデータは厚生労働省が3年ごとに行なっている調査ですが、年々患者数が増えてきています。
精神疾患の患者数推移
引用元 厚生労働省データをホウカンジョブ様が再集計した資料
https://houkan-job.com/articles/shigoto/5162/
増加した内訳を分析してみると、この中で増加した4分類をみてみると、一番の要因はいわゆる「こころの病気」だとわかってきます。
<前回調査と比べて増加している4分類>
統計数値からしてみても、病気になってから治療するだけでなく、悪化する前に「こころの健康管理」をすることが重要になってきています。
「カラダ」の健康管理だけでなく、これからは「こころ」の健康管理も
これだけ「こころの病気」になるひとが増えている状況なので、具体的な対策が必要なのですが、実際のところ、未然に病気を防ぐための取り組みをしている企業は、一部の先進企業を除いて、まだまだ普及されていません。
世の中には、健康診断や運動による「カラダの健康管理」をしている人は多いですが、「こころの健康管理」を意識的に行なっている人は、実際のところ多くありません。
政府による「ストレスチェック」は義務化されているもの、具体的にストレスを軽減するための健康管理はあまり実施されていないのが現状です。
現代のような情報社会では、カラダの健康管理と同じくらい、「こころ」の健康管理も重要性が増してきています。
逆輸入された瞑想、マインドフルネス
前述した現象は、実は日本だけで起きている問題ではなく、世界的に起きている現象です。早くはアメリカで同じような深刻な状況が起きました。
そこでアメリカの脳科学者を中心に「こころの健康管理」の重要性が唱えられ、そこで注目されたのが東洋の禅の瞑想法、マインドフルネスでした。
Googleで開発された、グーグル式瞑想トレーニングSearch Inside Yourself(通称:SIY)や、Awake@Intelなど、マインドフルネス瞑想法が開発されたことが皮切りとなり、トレーニング研修法として徐々に認められ、今では、教育機関でも実践されるなど、アメリカ国中に普及されている「こころの健康管理法」となりました。
そして、この「マインドフルネス」はアメリカより日本へ逆輸入され、日本でもここ数年でだいぶ認知度は上がり、実践する人も徐々に増えてきました。
ただ、この「マインドフルネス」、瞑想を中心に行われるものですので、日本ではどうしても「宗教っぽい」とまだまだ誤解されがちなことが、日本での普及の妨げになるのではないでしょうか?
ただ、アメリカで行われている瞑想で注目すべきことには、「マインドフルネス」には宗教色はない、ということが日本の禅の瞑想との、最も大きな違いです。
ではなぜ「マインドフルネス」には宗教色がないのでしょうか?
アメリカ人は、東洋医学のような科学的に解明できないことについては、非常に懐疑的に考える傾向にあります。でも、そんなアメリカで「マインドフルネス」が世に広まったきっかけは、脳科学の観点で「ココロとカラダにいい」と証明されたからなのです。
マインドフルネスを広めた功労者としては、マサチューセッツ大学医学大学院のジョンカバットジン博士による、マインドフルネス瞑想です。
そして、他にも数々の脳神経科学者によっても、ストレスを低減して集中力を高めてココロとカラダを整えることができると証明されてきました。
ジョン・カバットジン博士のマインドフルネス・ストレス低減法は、うつや不安障害、パニック発作もマインドフルネスで低減されると科学的に証明もされ、アメリカでは治療法として認められています。
つまり、立派な科学的瞑想エクササイズ、だということです。
「マインドフルネス」の意味とは?
そんな「マインドフルネス」ですが、ちょっと脱線して「マインドフルネス」という言葉の意味をWikipedia で調べてみました。なかなかの意味不明な感じですね。
「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」
これではわからないと思いますので、改めてわかりやすく「マインドフルネス」の意味を説明すると、こういうことです。
「(呼吸などの)一点に注意を向け、雑念がきたら気づいて意識を注意に戻す」という集中(集注)瞑想。
また"Mindful"という英語にあるように、「雑念が取り払われて心が安定し、穏やかで満ちた気持ちでカラダもココロもすっきりした状態」を作り出すための瞑想、といえます。
ちなみに、マインドフルネスを英語では「MINDFULNESS」と書きます。
「MINDFUL」を「MINDFULL」(心が一杯で余裕がない)と書き間違えてしまうと、全く正反対の意味になってしまいますので要注意ください。
「マインドフルネス」・・・日本の禅(仏教)にある意味とは?
そして、この科学的な瞑想エクササイズである「マインドフルネス」ですが、実は日本の禅(仏教)の用語にもちゃんと存在します。
それは、「正念」という言葉です。
〜デジタル大辞泉より〜
しょう‐ねん〔シヤウ‐〕【正念】
1 仏語。八正道の一。物事の本質をあるがままに心にとどめ、常に真理を求める心を忘れないこと。正しい思念。
2 極楽往生を信じて疑わないこと。一心に念仏すること。
3 雑念を去った安らかな心。
「十方の仏を礼し奉り―にして慈氏菩薩を念じ奉り給ふ間」〈今昔・六〉
4 本心。正気。
「其の後狂気、―を失ふが如しと云々」〈明月記〉
この「正念」が、禅(仏教)における「マインドフルネス」に当たる意味になります。
この「正念」という言葉、それぞれの漢字をふたつに分解してゆくと、さらにはっきりとその言葉が表す中身がみえてきます。
「正念」
答えは「正は一と止へ、念は今と心へ」
↓
つまり「一止今心」となり、
「一点に注意を止めて、今に心をとどめること」
という言葉になります。
不思議とマインドフルネスの表す意味と同じになってきます。
まさに日本の「正念」も、「マインドフルネス」の語源として繋がっているわけです。
(なお、マインドフルネスの最初の語源はインドのサティ(正念)から来ています)
「正念」というと思い出すのが「正念場」という言葉。
まさに大事な勝負どき、という意味ですが、言い換えると「ひとつのことに集注してやるべき場」なのかもしれませんね。
最後に・・・
これまで、マインドフルネスが不安やうつといった精神疾患を予防する、「こころの健康管理法」だということを書いてきました。
不安やストレスを感じている方でしたら、是非「こころの健康管理法」としてマインドフルネスを実践することをお勧めします。
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